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静岡地方裁判所浜松支部 昭和62年(ヲ)221号 決定 1987年11月20日

債権者 豊田時嗣

<ほか四九六名>

債権者ら代理人弁護士 宮崎乾朗

同 篠崎芳明

同 村橋泰志

同 山田勘太郎

同 田中清隆

同 三井義廣

同 荒川昇二

同 石塚伸

同 片桐一成

同 鈴木博

同 渥美利之

同 佐々木成明

同 鈴木孝裕

同 辻慶典

同 熊田俊博

同 渡辺昭

同 中嶋練太郎

同 竹山定志

同 長野哲久

同 岩本充司

同 小高譲二

同 酒井英人

同 浦野信一郎

同 林範夫

同 冨山喜久雄

同 南政雄

同 大澤恒夫

同 岡本義弘

同 大口善徳

同 杉山繁二郎

同 齋藤安彦

同 久保田治盈

同 清水光康

同 小倉博

同 白井幸一

同 荒巻郁雄

同 藤森克美

同 小野森男

同 青島伸雄

同 高山幸夫

同 佐藤久

同 大橋昭夫

同 土屋連秀

同 栗原孝和

同 阿部浩基

同 渡邊高秀

同 小林達美

同 本杉隆利

同 沢口嘉代子

同 河村正史

同 加藤静富

同 立石勝広

同 西尾和広

同 石塚尚

同 藤田雅弘

同 黒柳安生

同 杉田雅彦

同 浅野正久

同 中村光央

同 牧田静二

同 榊一夫

同 岩崎修

債務者 青野哲也

右債務者代理人弁護士 竹下甫

同 山之内幸夫

主文

一  債務者は、当庁昭和六二年(ヨ)第一〇五号、同第一一六号不動産仮処分事件の仮処分決定により、別紙物件目録記載の建物内に國領屋一力一家の構成員を集合させる等して同建物を國領屋一力一家の組事務所として使用してはならない。

二  債務者が前項の義務に違反し、昭和六二年一一月二四日以降第一項の建物内に國領屋一力一家の構成員を当番構成員であると否とを問わず、一日につき、のべ七名以上立ち入らせる等して同建物を國領屋一力一家の組事務所として使用したときは、債務者は、債権者らに対し、当該違反をした日の一日につき金一〇〇万円を仮に支払え。

三  債権者らのその余の申立をいずれも却下する。

理由

一  本件間接強制の申立の趣旨及び理由は、別紙「間接強制の申立」と題する書面記載のとおりである。

二  本決定主文第一項掲記の仮処分決定により、債務者には、別紙物件目録記載の建物(以下「本件建物」という)内に國領屋一力一家の構成員を集合させる等して同建物を國領屋一力一家の組事務所として使用してはならない不作為義務がある。ところで、前記仮処分決定の主文第二項の趣旨は、その全文及び理由によって明らかなとおり、同項の各禁止事項を形式的又は限定的に解すべきものではなく、債務者が本件建物を國領屋一力一家の組事務所として使用することにより、その方法及び態様等において、右の各禁止事項の文言に直接違反してはいないとしても、これに類似し、又は準じた行為があり、かつ、債権者らに対し、同程度の危険感や不安感を与え、平穏な日常生活を営む権利を侵害したり、又は、侵害する恐れがある場合には、当該禁止事項に違反したものと解すべきものである。そして、債務者が、本件建物に当番構成員であると否とを問わず、一日につき七名(のべ人数)以上の國領屋一力一家の構成員を立ち入らせる行為(なお、その立ち入りを容認し、又はこれを放置する行為も含まれる。)は、債権者らに対し、「本件建物内に國領屋一力一家の構成員を集合させる等」の行為と同程度の危険感や不安感を与えるものと一応認められるから、債権者らの平穏な日常生活を営む権利を侵害したり、又は、侵害する恐れがあるものとして、前記仮処分決定中の禁止事項に違反するものと言わねばならない。

三  ところで、本件記録及び審尋の結果によれば、債務者は、前記仮処分決定正本の送達後である昭和六二年一〇月一三日以降別紙「構成員出入一覧表」記載のとおり、外部から容易に看取できるような状態で殆んど連日多数の國領屋一力一家の構成員らを本件建物に立ち入らせる等して、本件建物を國領屋一力一家の組事務所として使用していることが明白であるから、前記仮処分決定第二項中の禁止事項である本決定主文第一項の義務に違反していると言わねばならない。そして、債務者に対し、前記仮処分決定第二項に基づき、本決定主文第一項の不作為義務を確実に履行させるためには、これを履行しない場合に一定額の金員の支払義務を課すいわゆる間接強制の方法によるほかなく、本件事案の特殊性、その他記録によって一応認められる諸般の事情に照らすと、本件間接強制の目的を達成するのに必要かつ合理的な金額は、債務者が昭和六二年一一月二四日以降右の違反行為を行った日の当該一日につき、債権者らに対し、金一〇〇万円の支払義務を負わせるのが相当であると認められる。

四  よって、債権者らの本件申立は主文第一、二項掲記の限度で理由があるので、この部分を認容し、その余の部分を失当として却下することとして、主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 川瀬勝一 裁判官 安倍晴彦 市村弘)

<以下省略>

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